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世界を知るには

こんにちは。

おーたです。

風邪がやっと治ったと思ったらまた鼻水が出はじめました。

皆さんも風邪にご注意を〜!

さてさて、前回は佐野さんが次元について宇宙初期の次元はいくつなんだ?というお話をしていたと思います。今回は、じゃあ、次元ってどうやって測るの?というお話です。

問題です。

私たちが住んでいる世界の次元、何次元だと思いますか?

え?3次元なんじゃないの?と思われたあなた、正解です。

では、第2問。下の写真のこの人が住んでいる世界の次元は?

正解は・・・1次元です!

この人は目隠しをしているので、目から入ってくる情報からは何次元なのか判断することは出来ません。しかし、動き回れば何次元の世界に住んでいるのかがわかるはずです。歩き回れる方向を考えると、前後しかありません。つまり、1方向にしか動けません。このことから、この人の住んでいる次元は1次元ということになります。

ちなみに、科学バーでこのお話をした時に、「この人は何をしているのでしょう?」という質問をしたら、「無謀なことをしている」との答えが。

確かに!

特殊な職業の方やチャレンジャーでないとこのような状況は感じることができませんね。

しかし、私たちも似たような状況を感じることができていました。

ということで、第3問。

もうわかりましたか?

正解は2次元ですね。

私たちは赤ちゃんの頃は目で見た情報はもちろんですが、はいはいをして世界を動き回ってたはずです。階段を登れるようになるまでは、動き回って周りの世界を認識していたはずです。そう考えると、この赤ちゃん(過去の皆さん)は世界を2次元と認識していたということができます。

このように、私たちは世界を動き回ることで次元を知ることができるのでした。

どのくらい自由に動き回れるのかで定義される次元をウォーク次元と言います。

このウォーク次元を、シェルピンスキーのギャスケットなどの穴の空いた特殊な空間で考えると、1次元の世界よりは自由に動き回れるものの、2次元の世界よりは動きづらい、つまり非整数の中途半端な次元が得られます。

さて、動き回ることで世界の次元を知ることができるというお話をしましたが、実は、動き回らなくても世界の次元を知る方法もあります。

例えば、あなたが真夜中に起きた時、普段ならば部屋の様子は分かっているわけですから、もしかすると動き回らなくてもある程度周りの状況は分かるかもしれませんね。しかし、全く知らない場所であるならば、移動しながら手探りで周りの状況を知ろうとするはずです。これは先ほどの動き回って世界の次元を知る、ということに対応します。

では、動き回ることすらできない場合は?

私だったら、とりあえず手元のものを周りに投げてみます(笑)

周りに壁があれば、投げた後耳をすませば音で判断することができるかもしれません。

動き回れない時、その場から何かを投げて周りの様子をみる。世界を知るための有効な方法の一つです。

実際に、物理でもこの方法で私たちの住んでいる世界の次元を知ることができます。

ある空間にプラスの電気を帯びた物質を置いて見ましょう。

プラスの電気からはある決まった本数の電気力線というものが生じます。

この電気力線がどのように広がっているかを見ることで世界の次元を知ることができるのです!

プラスの電気を帯びた物質から距離rだけ離れた所の電気力線の密度を考えて見ましょう。この密度を電場と言います。さて、プラスの電気を帯びた物質から離れれば離れるほど、電気力線の密度が薄まります。この薄まり方を調べることで次元を知ることができるのです。

例えば、3次元空間にプラスの電気を帯びた物質を置いてみましょう。

その物質から距離 r までは、半径 r の球状に広がるため、その面積は4π r^2 なります。電気力線の本数は面積で割ると導くことができるので、電気力線の密度(電場)は距離 r の2乗に反比例して小さくなっていることが分かります。

一方で、2次元空間にプラスの電気を帯びた物質を置いた場合を考えてみます。距離 r 離れた時、電気力線の密度は半径 r の円周で割ることで求めることができます。よって、電気力線の密度は距離 r に反比例することが分かります。

このように、電気を帯びた物質を空間においた時、電気力線の本数の密度が距離 r に対して、距離 r の(n-1)乗に反比例する時、空間の次元は n 次元である。ということがわかるのです!

で、本題は私たちが住んでいる次元は何次元?ということでした。

実験から、電気力線の本数の密度の距離依存性を調べると、距離 r の2乗に比例することが確かめられています。現在のところ、加速器によって高速で粒子を衝突させる実験を行うことで、10のマイナス19乗メートルの大きさまで有効であることが確認されています!この大きさは陽子の大きさの1万分の1です!めちゃちゃ小さいですね。ということで、最初の質問の答えは、「少なくとも、陽子の1万分の1ほどの大きさまででは、世界は3次元である!」です。

一方で、重力についても同様にして重力源から距離 r 離れたところの重力の大きさも、電気力線の密度と同様に議論することができます。しかし、重力の法則に関しては、数ミリ程度までしか実験的に確認されていません。よって、そこより小さい世界では、重力に関しては、空間が3次元とは限らないかもしれない、ということが期待されます。超弦理論では、時空は10次元とされています。この存在を確かめるためには、重力の法則がよりミクロの世界でどのようになっているかを知ることが必要です。

将来、重力の法則がミクロな世界では私たちの普段知っている法則とは異なる、ことが発見されるかもしれません。もしこれが発見されれば、超弦理論などの量子重力理論の実験的な確認となります!

いかがでしたでしょうか?

空間にものを置いてその周りの様子を観察するだけで、簡単に世界の様子を知ることができます。

見知らぬ大地に立った時、あなたならどうしますか?

とりあえず歩き回る。触りまくる。ものを投げる。

思いつくことを手当たり次第にやってみることで、思ったよりもたくさんのことが分かります。

その小さな情報を集めて組み合わせることで、私たちはより広く深いことを知ることができるはずです。

世界を知るためには、何が必要か、もうお分かりですよね???

ということで、おーたでした〜


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