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時空特異点って本当にあるの?

 こんにちは。他の4年生たちが教育実習に行ってしまって一人ぼっちのB4櫻井です。今日は僕の研究テーマについて少しお話しできればと思います!

 ブラックホールの中に落ちたら最後はどうなるのか?誰もが一度は考えたことがあると思います。ご存知の通りブラックホールというのはその中を見ることができないので、答えは未だにわかっていません。ブラックホールに引っ張られて…中に入って…どんどん中心に向かって行って…。この辺りまでは何と無く想像がつくかと思うのですが、その先はどうなるのでしょうか?

 宇宙やブラックホールの現象については、アインシュタインの提唱した一般相対性理論がよく説明してくれます。しかし、ブラックホールの中心については一般相対論を持ってしてもよくわからないのです。というのは、一般相対論ではブラックホールの中心には時空特異点があるとしていますが、この時空特異点というのがなんとも困ったものなのです(名前だけ聞くとメチャクチャかっこいいのですが!)。一般相対論では、重力は時空の歪みによって現れるものだとしているのですが、その時空の歪みは「曲率」と呼ばれる量で表されます。時空特異点ではなんと、その曲率が無限大になっているのです!!(正確には、クレッチマン不変量と呼ばれる量が無限大になります。)このことはよく、「時空に穴が空いている」と表現されています。

 う〜ん…無限大って結局いくつなのさ?時空の穴から落ちたらどうなっちゃうの?

 一般相対論ではここまでのことしか知ることができないのです。この先を知るために、いま世界中の物理学者たちが頭を捻っているわけです。多くの物理学者は本当に無限大になると考えているわけではありません。というのは、「無限大」では結局の所いくつかわからないですし、その先も計算ができないからです。

 そこで考えられている一つのアイディアが、「Infinite Derivative Gravity」(略してIDG)と呼ばれるものです。IDGは、アインシュタインの一般相対論を少し書き換えて様々な問題を回避できるようにした修正重力理論と呼ばれるものの一種です。修正重力理論では、その理論における方程式を作り出す、アクションと呼ばれるものを一般相対論から少し書き換えます。特にIDGでは、一般相対論のアクションに曲率の微分項をいくつも足していきます。こうすることで、ブラックホールの中に時空特異点ができなくなるのです!具体的には例えば、次のように書き換えます。

(上式が一般相対論における式。下式がIDGにおける式。

 R:曲率を表すもの   ⬜︎:微分を表すもの   F(⬜︎):⬜︎の関数)

 このIDGの考え方を使って、こんな状況でも大丈夫かな?と色々考えて見るのが僕の研究テーマです。まあ、まずは大学院入試を終わらせないことには研究も進められないのですが笑。

 それでは、長くなってしまいましたがお付き合いありがとうございました!


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