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只管打算

みなさんお久しぶりです。小林研の唐木澤です。

夏休みが終わったと思ったらもう寒いですね。

 前回のブログにもあったように、先週の金曜日『夜学 Naked singularity vol1』が開催されました。私は初回のvol0には参加できていなかったので、今回が初参戦となりました。そして、その中で行われたある企画に参加してきました。その企画とは...

『只管打算』

これは「ただひたすら座る」という意味がある「只管打坐」が元になっている言葉で、そのまま意味を考えると「ただひたすら計算をする」となります(小林先生によると「ただひたすら打算的」というダブルミーニングもあるようです)。ひたすら計算...これは数学を砦としている数理物理班としては是非とも挑みたいと思っていた企画でした。今回も4年生から誰かやってみないかということでしたので、立候補してやらせて貰うことになりました。

 そこで、今回私が計算したのは、回転しているブラックホールの解(カーブラックホール)をNewman-Janis trickという手法を用いて計算するというものです。

 私たちがよく用いるブラックホールの式の最も簡単なものとして、静止した球対称なブラックホール(シュバルツシルトブラックホール)があります。

※notationは、参考にした論文のものを採用しています。

しかし、先日発表されたイベントホライゾンテレスコープなどからも、現実のブラックホールは回転しているとわかっています。それではカーブラックホールの方が現実的ではないでしょうか。そこで、回転しているブラックホールの式はと言いますと、

※同上

何だこれは(笑)。難しい数式はさておき、膨大な計算をしなくてはならないということは何となくお分かり頂けるのではないでしょうか。

しかし、今回の手法を用いると、「トリック」と名前がついていることからも分かるようになぜか簡単に解が出てしまうのです。ですが、簡単にとは言っても、一般的な方法に比べてですので、計算量はかなり多いものでした。

 長々と話してしまいましたが、とりあえず、只管(ひたすら)に計算をしてきたわけです。その様子を少し紹介していきたいと思います。

このように一人座って計算と向き合い、ただ黙々とペンを走らせていきます。(坐禅を組んで計算していれば良かったですがお許しください笑)

その計算をこのように投影して誰にでも見えるようにしておき、先輩やお客さんにわいわいと何をしているのかと突っ込まれながら計算をしておりました。

私自身、この計算は初トライでしたし、計算を誰かに見られながら行うということは初めての経験でしたので、かなり緊張しておりました。しかし、始まってみると、お客さんに質問してもらえたり、励まされたり、意外と孤独な時間は少なく、計算は着々と進んでいきました。そして、夜学の終了間際、何とか目標としていた式の形を出すことができました。

 今、改めて夜学での只管打算を振り返ってみると、解が出せたことはとても嬉しかったですが、周りのみなさんと一緒に計算を進められたという感覚が、とても新鮮で楽しかったです。普段、研究室のメンバーと議論しながら計算をしますが、それとはまた違った計算の楽しさを感じることができて、只管打算に挑んで良かったなと思います。

 夜学の楽しみ方は人それぞれ、議論に参加するもよし、座って話を聞くもよし、もちろんクラブなので踊るもよし。ですが、「ひたすらに計算をする」という選択肢も粋な夜学の楽しみ方ではないかと今回参加して感じました。次回の夜学では、ぜひみなさんも只管打算に参加してみてはどうでしょうか。


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